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同一労働同一賃金について(労働者の待遇)







年5日の有給取得制度や、長時間労働の改善など働き方改革が行われている中で、今回は【同一労働同一賃金】について解説します。

「言葉の意味はなんとなく分かるけど、詳しくはわからない」

「企業はどのような対策をしなければいけないのか分からない」

など、同一労働同一賃金の具体的内容などについて解説していきます。


目次



1.同一労働同一賃金とは?

同一労働同一賃金とは、「正規雇用労働者と非正規雇用者が同じ業務をしているのであれば、同じ賃金を支払い、不合理な待遇差を解消する」といった制度です。


正規雇用社員は、【正社員などの無期雇用フルタイム労働者】のことで

非正規雇用社員は、【パートタイム労働者、派遣労働者、アルバイトなどの有期雇用労働者】になります。


以前からこのような考え方がありましたが、同じ仕事をした場合でも、非正規雇用社員よりも正規社員の方が評価をされることや、報酬が良い場合もありました。今回の「同一労働同一賃金」ではルールがより明確化・厳格化されたので、すべての事業主が遵守する必要が出てきたのです。



2.同一労働同一賃金の目的とは?

派遣労働者がどのような雇用形態、就業形態でも選択した際に納得が受けられることや、

多種多様な職種・就業形態を自由に選択することが可能となることが目的としてあげられます。


2-1.なぜ法整備が必要なのか?

例えば、パートタイム社員が同じ部署の無期雇用フルタイムの社員と比較して自分の賃金が低いのは不合理なのではないかと考えたとしましょう。会社や行政、司法にその是正を求めようとしても、現在の法制化では何が不合理なのか判断できる具体的な基準がありません。派遣労働者が司法に訴えるには、過去の判例を参考にする以外手段がないのです。


企業にとっても、何が不合理な待遇差かわからなければ適正な人事制度や待遇決定ができません。また具体的な基準をつくっただけでは非正規社員の待遇改善は進んでいかないでしょう。「不合理な待遇差」とは具体的にどのようなものか例示して、法的な効力を持たせる必要があるのです。


2-2.同一労働同一賃金に関する法整備3つのポイント

同一労働同一賃金に関する法整備は、非正規雇用者と正規雇用者との間に「不合理な待遇差」が生じないようにすること、また「不合理な待遇差」があると考えたとき、司法や行政に救済を求め是正する環境を整えることが目的です。

法整備のポイントは以下の3点です。



3.短時間・有期雇用労働者に関する同一労働同一賃金の具体的内容とは?
3-1.比較対象は「無期雇用フルタイム社員」

均等均衡をはかるための比較対象となるのは「同一の使用者(会社)に雇用される無期雇用フルタイム社員です。同一企業内における同一労働同一賃金に関する考え方は以下の通りです。


基本給・昇給・賞与制度などは3つの考慮要素を踏まえ※均衡待遇とする。

通勤手当や時間外手当・給食施設、休憩室の利用・慶弔休暇・病気休職などは雇用形態や3つの考慮要素に関係なく※均等待遇とする。


※均衡待遇とは 正社員とその他の労働者との間で違いがあることを前提に、待遇にあまりにも大きく

        差が開いていなければ良いという考え方

※均等待遇とは 同じ待遇にするということ。正社員とその他の労働者の待遇の取扱いを同じに

        しなければならないという考え方




3-2.均等均衡を検討するための考慮要素

均等均衡を検討するための考慮要素は以下の3つになります。「③その他の事情」を具体化し、極端な解釈にならないよう留意されています。

※以下の3つを【3考慮要素】という


➀職務内容(業務内容・責任の程度・権限・業務の成果への役割・クレーム対応の有無 等)

②職務内容及び配置転換の変更範囲(人事異動・昇進昇格・転勤などいわゆる「人材活用の仕組み」)

③その他の事情(職務の成果・意欲・能力または経験、合理的に労使間で決定した事項 等)


3-3.均等待遇規定とは?

「職務の内容」「職務内容及び配置の変更範囲」が同じ場合は差別的取り扱いが禁止され、同一の扱いが求められます。


●3考慮要素に関係なく決定される均等待遇項目

短時間・有期雇用労働者の均等均衡待遇


3-4.均衡待遇規定とは?

「職務の内容」「職務内容及び配置の変更範囲」「その他の事情」のうち、個別の待遇ごとにその性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、不合理な待遇差が禁止されます。


通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に待遇の相違が存在する場合に、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方を以下にまとめました。



●3考慮要素を踏まえ決定される均衡待遇



ここに原則となる考え方が示されていない退職手当・住宅手当・家族手当等の待遇や、具体例に該当しないケースについても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められており、各事業所においては、労使間で個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していく事が望まれています。



同一企業内の待遇差の解消にあたっては、パートタイム・有期雇用労働者の処遇改善が今回の趣旨となっています。そのため、通常の労働者(いわゆる正社員)の待遇の引き下げはその趣旨に反する行為です。各社の労使による合意のない状況での正社員の待遇引き下げは労働条件の不利益変更にあたることが指針に明記されていますので注意しましょう。


4.派遣社員の同一労働同一賃金とは?
4-1.派遣社員の待遇決定は「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」の選択制

「不合理な待遇差を解消するための規定の整備」は派遣事業に大きな影響を及ぼします。

派遣労働者にとって、実際に就業する派遣先正社員との均等均衡は重要な観点ですが課題もありました。例えば、職種が同じでも派遣先が変わるごとに賃金水準が変わってしまう可能性があることです。また、派遣労働者の就業希望が正社員の賃金水準の比較的高い企業に集中してしまい、キャリア形成を考慮した計画的な配置などキャリアアップ支援が困難となることも考えられます。


このような状況を踏まえ、改正派遣法では派遣社員の同一労働同一賃金は次の2つの方式のどちらかを派遣元が選択する事とされました。


➀派遣先の正社員との均等均衡による待遇を決定する方式 【派遣先均等・均等方式】

②一定水準を満たす労使協定を派遣元が締結し待遇を決定する方式 【労使協定方式】


②の【労使協定方式】は、派遣元事業所単位もしくは派遣元単位で締結することができ、労使協定の対象となる労働者の範囲を明確にすれば職種領域ごとの賃金テーブル等で締結することが可能です。





また、派遣先には、派遣元が上記1)2)を順守できるよう派遣料金の額の配慮義務が課せられます。


労働者の待遇決定は「派遣先均等・均衡方式」と「派遣元労使協定方式」のいずれかを選択するかにより、比較対象労働者や待遇決定の考え方が異なります。


詳しくは別記事の




にて解説しています。


5.派遣社員に対しての明示・説明義務とは?
5-1.労働条件の明示

派遣元は、派遣労働者を雇入れようとするときに(雇入れ時)と派遣を開始しようとする時(派遣開始時)の2つの時点で、派遣労働者に対して労働条件に関する下記の事項について明示しなければいけません。



上記のほか、従来から明示が必要とされている事項についても対応が必要です。


5-2.待遇に関する措置の明示

派遣元は、派遣労働者を雇入れようとする時(雇入れ時)と派遣を開始しようとする時(派遣開始時)の2つの時点で、派遣労働者に対して待遇に関する措置について説明しなければいけません。




5-3.派遣社員から求めがあった時の説明

派遣労働者の求めに応じて、比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由等の説明をしなければなりません。




6.まとめ

同一労働同一賃金では、正規社員と非正規社員が同じ業務を行っている場合の待遇差をなくすために【均衡待遇】と【均等待遇】の2つに分けられています。

また、派遣労働者の待遇決定については【派遣先均等・均衡方式】と【労使協定方式】があり、派遣元はどちらかを選択して待遇決定を行い、派遣労働者の待遇差を無くすことに努めなければいけません。


派遣先は、派遣先均等・均衡方式、労使協定方式を順守できるよう、派遣料金の額の配慮義務が課せられています。

その為、派遣先と派遣元で協力して同一労働同一賃金に対応していく必要があります。


今回解説した【派遣先均等・均衡方式】と【労使協定方式】については別記事にて詳しく解説しているので、そちらもぜひご覧ください。

下記のボタンからそれぞれの記事をご覧いただくこともできます。







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